注文住宅を建てる際、気にするべきことは色々あるのですが、意外と忘れがちなのが地域性です。南北に長く、海も山もあって世界でも有数の厳しくそして豊かな自然を有する日本。地域が違えば家を建てる際に気を付けるべきことは違います。今回は特に「岐阜地域」で家を建てる際に気を付けるべきことについて、岐阜の地域性を交えながら解説をしていきたいと思います。
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まずは知ろう、岐阜の注文住宅失敗例
注文住宅において、失敗例は枚挙に暇がありません。使いづらい、暑い寒いといった家の根本にかかわるものから、コンセントが足りないなんていう細かなところまで、多種多様に失敗例は存在します。
失敗する原因はいくつかあるのですが、最も根本的な理由としては、「建築会社選び」を失敗したというものになります。
その建築会社選びの失敗の中でも、注文住宅という商品の性格上、本当に困ってしまうのは、建築会社の倒産です。
家が完成してからの倒産も大変困りますが、もっと困るのが、家が建っている途中に建築会社が倒産するという事例です。
岐阜地区の注文住宅会社倒産事例
ここ数年を見ても、岐阜地区の注文住宅会社の大型倒産事例はいくつかあります。
2015年の丸平建設さん
2016年の森工務店さん
2017年の平井建設さん
2018年のデコールホーム(旧シャルドネホーム)さん
2019年の本庄工業さん
いずれも岐阜地区内で注文住宅を手掛けておられた会社さんで、地区内ではそれなりに沢山建てておられた所ばかりです。
自分の依頼先が倒産するなんて、考えてもみなかったという人が殆どだと思いますが、この失敗に比べれば、コンセントの位置など、些末な例だと思います。
災害時に助けてくれる会社かどうか
倒産をしないという事も大事なことではありますが、いざ、災害が起きたときに助けてくれる会社かどうかを見極める事も大切な事です。
それには、岐阜ならではの特異な事情が絡んできますので、是非押さえておきたいです。
岐阜地区の大きな特徴は木曽三川に代表される「水」事情にあります。
岐阜は全国でも屈指の水害地域になります。
近年の風水害で大きな影響を受けた地域と比べても、岐阜の地域の想定水害地域はかなり広い事が分かると思います。
毎年のように異常気象と言われ、日本全国で水害が多発する中、岐阜地域がいつまでも無事だとはなかなか言いづらいところです。
あなたの家が建つ場所も大事ですが、あなたの家を建ててくれる建築会社さんが、水害指定地域の真っただ中にあった場合、いざ有事の際、水が引くまでは会社に近づく事すらできないという状況が発生しかねません。
災害時にお客様を守るための拠点が、浸水想定地域に建ってしまっていると、住民の命を守ることが出来ません。
鹿児島県垂水市の新市庁舎建築計画は、着工目前に住民からの反対の声を取り入れ、急遽浸水想定区域外への建築に変更されました。
そのくらい、水害に対する危機感は高まっています。
なので、長期的な事を考えると、自宅は勿論、依頼する建築会社が、水害時に動けそうかどうかを考えるのも必要になって来るかもしれません。
岐阜は車社会?家の駐車場は何台必要?
住宅の計画に駐車場は必須です。
今は一人に一台、車を持っているのが当たり前の生活になっています。では、新築計画時に考える車の台数は、家族分用意すべきでしょうか?
家の計画を、自宅だけの視野で考えると、車の台数は家族分という事になります。しかし、今は人口減少時代です。岐阜の地域でもどんどん空き家が増えて行っております。古い住宅地に新築をして、しばらくしたら隣が空き家になった。なんていう話は枚挙に暇がありません。
子供が二人いるのであれば、夫婦と子供で合計4台車が必要な時期は来るでしょう。しかし、その期間はそう長くはありません。
今現在、子供たちが小さいのであれば、子供たちが車に乗る時期には、近くに沢山駐車場があるかもしれません。土地を買うのであれば、周りの状況をよく見てみましょう。古い住宅地であれば、かなりの確率で、空き家の駐車場を借りることが出来るようになります。
最終的に夫婦二人で住むときに、必要な車の台数があれば、何とかなってしまうのが、これからの岐阜地域の事情になっていくはずです。
岐阜でもインフラが廃れる地域があります。
引用:岐阜市HP
バブル時代にイケイケどんどんで岐阜地域の住宅地は広がって行きました。2020年現在でも、岐阜の北部、三輪地域は新しい家が沢山建っています。
新しい家が建つ地域には上下水道のインフラ整備が行われます。昔は人が沢山増えていくため、上下水道の整備を行っても、採算が取れたのですが、最近は数軒の分譲の為だけに上下水道の延長工事を行う例も出てきました。
実は、岐阜のインフラ整備は日本全国他の市町村と同じように、限界を迎えております。そのため、各市町村で、将来的に人が住んでほしくない地域、インフラの整備をやめて自己責任で住んでもらう地域という物を設定しております。「お住まいの地域_マスタープラン」と入力して検索をしてみて下さい。その地域が将来的にどのように縮小されていくのかという計画が各市町村から発表されております。
やけに土地が安いと思ったら、将来的には下水道が使えなくなる予定の地域だったなんてことも。
下水道の管理をしてくれない地域に家を建てるのであれば、数十年後に、浄化槽を導入しなくてはなりません。
駐車場や庭などに浄化槽を埋める事が出来る広さが無くては、どうにもならなくなってしまいます。
災害も怖いですが、インフラ整備のことも忘れてはいけません。
岐阜の家づくりに最適な断熱材は?
断熱材は世の中に沢山の種類があり、その特徴も様々です。例えば、温度域や湿度域に応じて断熱材の性能は少し変わってきます。日本の中でも、温度の高さはトップクラスの岐阜の家づくり。どんな断熱材が適していると言えるのでしょうか。
ちょっと意外かもしれませんが、岐阜地域だとこれで決まりという断熱材は有りません。どれを使っても良いのです。
しかし、気を付けないといけないのは、防湿層の有無になります。繊維系断熱材や、現場発泡系の断熱材を使う場合、防湿層の施工は必須になります。夏に冷房除湿を行わず、冬に暖房加湿を行わない暮らしをするのであれば、防湿層は必要ありません。しかし、昨今言われている様に、24時間、人が居る時間はきちんと冷房暖房をするという暮らしをするのであれば、家の中と外の水蒸気圧差は1000パスカルにも及びます。想像できないかもしれませんが、壁の中を沢山の水蒸気分子が通り抜けようとしている状態が起こります。
どうしても防湿層を使わないで壁や屋根を作りたい場合は、必ず結露を起こさない事を確認する個別の結露計算を行ってもらいましょう。
断熱材に興味のある方はこちらのブログも併せてご覧くださいませ。
岐阜に最適なパッシブデザインは?
こちらは実は答えがもう出ています。
一言で言えば古民家です。自分の周りに建っている古そうな家(戦前くらい)の家の作り方を見て頂ければ、実はそれが岐阜に最も適したパッシブデザインの家になっていることが分かります。
簡単に特徴を挙げますと、
南側の庇は出来る限り長く
冬の寒さも厳しいですが、夏の暑さも大変厳しいのが岐阜です。通常、窓の高さの1/3程度の長さを出すのが最適と言われている庇や軒の長さですが、岐阜の場合はもう少し長い方が良いです。
東西に窓は付けない
以外に思われるかもしれませんが、岐阜地域の家で東西面に窓が付き始めたのは、戦後の日本全国統一規格の住宅が出来始めてからです。戦前の建物には東西に窓は有りません。
東西面に窓を付けてもあまりメリットはなく、デメリットばかりが目立つのが岐阜地域の特徴です。可能であれば、東西面、特に、西面には窓を付けないスタイルが、岐阜の昔から続いてきたパッシブデザインになります。
いかがでしたでしょうか。
他にも沢山あると思いますが、岐阜で注文住宅を建てるのであれば、気を付けておきたい注意事項を挙げさせていただきました。
家は息の長い商品です。住んで10年くらいは何も起こらないのが当たり前です。しまったなと思うのは20年目以降と相場が決まっています。
今から家を建てるのであれば、20年先30年先のことを考えて家を建てていきましょう。
さて、今回は 岐阜で注文住宅を建てるなら というお話しでしたが、
家づくりにはまだまだたくさんの落とし穴があります。
家づくり失敗したなぁと思う人を一人でも減らせたらと思い、
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【実録】建築会社と担当者選びを失敗した理由