長持ち

だからハウスメーカーは設備を一生懸命に売る

暖かくなってきて、暖房の出番ももう終わりかなという時期になってきました。

弊社のパッシブモデルハウスは既に薪を焚くことをやめております。

日照だけで充分に暖かくなりますので。

さて、今日は建築業界の慣例というか、

建築業界の不都合な真実をお話ししたいと思います。

ハウスメーカーの設備プレゼント戦略

住宅に限らず、日本人は「最新設備」という言葉が大好きです。

住宅で言えば、最新のキッチン、最新のエアコン、最新の家電、

最新の太陽光、最新の床暖房、最新のウォッシュレット、最新の、、、、、

と、ざっと挙げるだけでも住宅は設備が沢山ある事が分かります。

家を建てようと思うと色々なキャンペーンがあったりしますが、

「今ならエアコンプレゼント」「今なら床暖房半額」等、

設備をプレゼントするものばかりであることに

気付いている人はいらっしゃるでしょうか。

実はハウスメーカーに限らず、住宅を売る会社は儲けようと思ったら

「設備」を売るのが一番楽で割がいいのです。

住宅業界のサブスクリプションビジネス?

なぜかというと、設備は必ず10年程で壊れてくれるからです。

とりあえず設備をサービスしてでも入れておいて、その快適性なしでは

いられないという状況を作ってしまえば、

設備が壊れた時には必ず交換してくれるからです。

建築業界で利益率が高いのは設備業者と電気業者であることは

業界の人であれば大概知っている事実です。

今の商売は「損して得取れ」です。敷居を低くしておいて、

後で如何にお金を取り返すかというビジネスモデルばかり社会全体で考えます。

携帯ゲームは始めるのは無料、後で課金したくなる仕組みです。

 

携帯電話は乗り換えるのは無料、だけど2年間は解約できない。

車は月々3000円からと、非常に安いですが、

3年後に残価設定をどうするか選択を迫られます。

 

寒い家を建てる日本の【温める設備】

当然住宅も、あの手この手で、後からお金が掛かる仕組みを考えます。

全体から考えれば、設備を売る事だって一例にすぎません。

例えば、暖房便座、例えば床暖房、例えばエアコン、

例えば浴室暖房、例えばこたつ、これらは全部住宅の中にある設備ですが、

共通しているのは「熱を発するものである」という事です。

寒い家を作っておいて、温めるための設備に依存させるのが

住宅業界の当たり前であり、家を買う人も売る人も、

そこに疑問を抱くことすらしません。

外国の方にウォッシュレットを使わせて

「すごい、こんなのわが国には無い」と言わせるテレビ番組がありますが、

そもそもトイレの中が寒くない家に、暖房便座は必要ありません。

夏に便座が暖かかったら気持ち悪いですよね。

つまり、家が寒い日本がガラパゴス的に発展させてきた、

住宅の「ある部分」を局所的に温めるための設備が

ウォッシュレットであったり浴室暖房であったりするのですね。

設備にお金を掛けるか、断熱に投資をするか?

ではどのようにすれば良いのでしょうか。答えは簡単です。

あとからお金が掛からないようになるものにこそ、最初に投資すべきなのです。

後でお金の掛からないもの、それは、住宅の断熱です。

日本の寒い家は600Wの電力を使って温まるのはこたつの中だけです。

それを30坪(100㎡)でQ値1.0の家に成績係数3.0のヒートポンプを通して熱を作った場合、600Wも電力があれば外気温+18℃まで家中を温めることができます。

岐阜市の1月の平均気温が3℃前後なので、平均21℃まで室内が暖まります。

同じエネルギーを使っているのに、片やこたつの中だけ暖かく、背中は何となくうすら寒い家。片や家中が暖かくなる家。

どちらに住みたいと思いますか?

温度だけではありません。Q値1.0の家は、2.2kW(6畳用)のエアコンが1台あれば家中を暖かくできます。

しかし、普通の寒い家は、あちこちにエアコンやこたつ、暖房便座、浴室暖房が必要で、それでも寒いです。

更に、それらの設備はそれぞれエネルギーを使いますので、600Wどころではない電力を使います。

更に更に、それらの設備は10年おきくらいに壊れてくれるので、

定期的に交換も必要になってきます。

Q値1.0の家が3000万円だったとしますと、そのうち熱を作る設備に掛けるのに必要な金額は70万円です。

金額が掛かるのは断熱材をたくさん使って正しく施工するからですね。

寒い家が2600万円だったとしますと、そのうち熱を作る設備に掛けるのに必要な金額は200万円です。

そして年間の光熱費が10万円違い、10年おきに130万円ずつ余分にお金が掛かります。

中学校2年生でやった、一次関数の式を思い出してください。

さて、何年目に逆転しますでしょうか。

賢い方ならもうお分かりだと思いますが、実は断熱にお金をかけた方が、断然得をするのですね。

未来に目を向けた家づくりを

じゃあ、なぜハウスメーカーは断熱はそこそこに、設備を売ろうとするのか。

答えは簡単、断熱ばかりにお金を掛けられては、

後でお客さんからもらえるお金が減ってしまうからです。

だからあえて床暖房や高価な換気設備やエアコン、

その他細々した設備品を売るわけですね。

後でハウスメーカーが儲かる事が分かっているから、床暖房プレゼント、

エアコンプレゼント、というキャンペーンは頻繁にありますが、

断熱施工プレゼント!というキャンペーンは絶対にやりません。

あとでハウスメーカーが儲からないから。

いかがでしょうか。

学校や講演会で建築業界の方にこの話をすると、

「腑に落ちた」という事を言っていただける人もいれば、

「そんなことお客さんには絶対話すな!」

という反応をされる方もいらっしゃいます。

皆さんが家を建てるのであれば、

どちらの反応をする建築会社で家を建てたいでしょうか。

私が目指す良い家は、一生涯を通してみた時に、

お客さんの出費が一番安く済む家です。

日本は家づくりにおいて個々人が異様に尊重され、

全体的な最適は殆ど求められません。

その結果が、今の空き家問題、エネルギー問題、

スギ花粉問題につながってきております。

家を建ててくださった人も、その周りの人も、

社会全体が良くなる家づくりに切り替えていかねば、

日本はすぐに立ちいかなくなってしまうと思います。

是非、先々の事まで考えた、賢い家づくりをしていただきたいと思います。

 

さて、今回は設備のお話しでしたが、

家づくりにはまだまだたくさんの落とし穴があります。

家づくり失敗したなぁと思う人を一人でも減らせたらと思い、

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【実録】建築会社と担当者選びを失敗した理由


 

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森 亨介(こうすけ)

国立岐阜工業高等専門学校建築学科卒業 建築環境工学を専攻する。 生涯コストが最も安くなる家を作る事を提唱し、普及に努めている。 凰建設株式会社代表取締役 一般社団法人ミライの住宅代表理事 一般社団法人パッシブハウスジャパン東海支部エリアリーダー

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