Q & Aよくある質問
よくいただくご質問をまとめました
新着のご質問
- 予算の都合上、第三種換気システムを採用する場合、ダクト式とダクトレスのどちらがよいのでしょうか?
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これは間取りによります。家の中がワンルーム的になればなるほど、ダクトレスでも間に合いますが、個室や仕切りの多い間取りですと、ダクトを回したほうが良いです。予算だけを見れば、ダクトレスの方が安いですが、ダクトレスに合う間取りになっていなければ、空気のよどみが出来てしまい、家庭内でインフルエンザやコロナウイルスのパンデミックが起きる状態になってしまいます。
- 床断熱+天井断熱の家と、基礎断熱+屋根断熱の家だと気積がの大小による有利・不利などありますでしょうか?
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非常に鋭い質問ですね。おっしゃるように、基礎/床、天井/屋根で気積が変わってきますので、例えばC値を測定する時の分母が変わってきたり、UA値を計算する時の外皮面積が変わってきたりします。一般的には分母が大きくなればなるほど、係数は下がりますので、床断熱+天井断熱の家よりも、基礎断熱+屋根断熱の家の方が、UA値やC値は下がりやすいです。ただ、それらの係数は下がっても、隙間の絶対値や、熱が逃げる外皮の絶対的な面積は増えておりますので、光熱費は基礎断熱や屋根断熱の方が増える事になります。
屋根断熱をするのであれば、小屋裏空間を上手に使って、勾配天井や、ロフト部屋を有効活用しないと勿体ない事になってしまいます。
参考にしていただければと思います。
- 基礎内断熱で断熱材をスタイロフォーム(防蟻剤入り)を使用予定ですが、床下エアコンで基礎内を使ったとき人体には影響ないのでしょうか?
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基本的に、家の中に自然由来ではない物を使った場合、人体への影響はゼロではありません。ただ、致死量が100とした場合、影響の度合いが10程度なのか、0.1程度なのか、0.0001程度なのかという程度問題があるだけです。そういった意味では、影響はあるが問題は無い程度であるというのが、最も正確な表現なのではと思います。
恐らくスタイロフォームATよりもはるかに悪影響のある物が室内には沢山使われるはずですので、あまり気にしなくても良いかと思います。
また基礎内断熱の場合、防蟻材入りの断熱材を必ずしも使わなくても大丈夫だと思います。ベースと立ち上がりの打ち継ぎをしっかり地面より高い位置で作り、アリの侵入が無い様点検をすれば、基礎内断熱で食害はありません。
最後に、質問の内容とはあまり関係ないですが、基礎内断熱+床下エアコンで最も大事なのは、基礎全面に断熱材を敷くという事です。冬の基礎内の温度は30℃近くまで上がりますので、床下エアコンでなければ無視出来ていた基礎のベースから地中への熱移動が、全く無視できないレベルの熱損失になっていきます。
- UA値で0.43と0.3だは体感でわかるほど後者が快適で省エネになりますか?
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体感に関しては入居してすぐには分かりません。両方とも快適に思えるはずです。
しかし2年も住むと、確実に分かります。UA値0.4の家の人がUA値0.45の家に泊まりに行き(冬)この家寒いねと言います。そのくらい、人間の感覚が不快に敏感になっていきます。UA値が全てではありませんが、やはり、違いは分かります。
省エネについても、UA値が全てではありませんが、0.13も違えば光熱費は確実に変わってきます。
- 最近ではエアコンをメインに冷暖房計画されることが多いと思いますが、エアコン以外では昔はどんなものが冷暖房に使われていましたか?
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冷房に関しては、基本的に室内を冷やす技術というのはヒートポンプ(エアコン)になります。丁度今週の非常勤講師で伺っている学校の授業の科目が冷暖房設備の歴史という単元に入っていきますので、私にとってはタイムリーな質問でした。
冷房に関しては、基本的に室内を冷やす技術というのはヒートポンプ(エアコン)になります。冷媒が昔はアンモニアを使っていたりフロンガスを使っていたりしていただけになります。
暖房については、木→炭→石炭→灯油→ガス→電気ヒーター→ヒートポンプ(エアコン)というのが登場順かと思います。木はかまど、炭は囲炉裏や七輪、石炭は石炭ストーブ、灯油は灯油ストーブ、ガスはガスストーブ、電気ヒーターは様々あります。
- 住宅設備を選ぶ際のおススメの物やアドバイスはしていただけるのでしょうか?
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除湿加湿器については、購入前に必ず相談いただきたいと思います。まずは消費電力、そして発熱量ですね。
高断熱になって行けば行くほど、相対的に家電などの発熱量の割合が増えていきますので、冷暖房計画において無視できない物になっていきます。
勿論、ご希望いただければ、アドバイスをさせて頂きます。
また、除湿器加湿器については、能力計算をせずに選んで全く意味が無い物が設置されているという事も少なくないので、購入前に必ず相談いただきたいと思います。
- 焼杉の外壁はやっていますか?ガルバリウムとの価格差はどの程度ですか?
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勿論採用することは可能です。杉板の単価はガルバリウムとほぼ同等ですので、焼く手間と施工の手間の分だけ高くなります。もし、建築予定地が十分に広くて、そこでご自身の手で杉を焼くことが出来れば、焼く手間は省くことが出来るかもしれません。ちなみに焼く手間は5分/㎡程度かかりますので、200㎡分焼こうと思うと丸二日程時間がかかります。
これは裏話的な感じですが、、職人さんの道具が真っ黒になるのですごく嫌がるんですよね、、道具をきれいに掃除する手間も施工費にちゃんと見ておいて欲しいと。そういうのが、施工の手間にも含まれてきます。
という事で諸々やっているとガルバの倍くらいになってしまいます。
更に余談ですが、薄く焼いた杉を床に使う事も出来ます。焼杉が大好きであればそこまでやってみてもいいかと思います。
- 洗濯室を作るときにどのようなことに気を付けた方が良いでしょうか?
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洗濯室で重要なのが湿気の取り扱いになります。
洗濯室で重要なのが湿気の取り扱いになります。
湿気は夏は不要で冬は必要なものになります。
理想を言えば夏の湿気は外に排出し、冬の湿気は屋内に循環できるような仕組みにしておくことが望ましいです。夏用に外に湿気を抜く換気扇を取り付ける。冬用に家の中に湿気を抜く室内循環用の換気扇を取り付けるというのが対策になります。そして、洗濯物が効率よく乾くようにそれぞれの換気扇の風量を設定してあげるとよいです。
一般的な洗濯一回分に含まれる水分は3.5kgになります。これは35坪くらいの家の湿度を一日中20℃30%から20℃35%まで加湿出来るくらいの水分になります。この洗濯物を3時間ほどで乾燥させようと思うと、約170㎥/h程度の室内循環ファンの能力が必要になります。
乾燥量や乾燥時間は室温や室内の湿度、通風量に大きく左右されますので、詳しくは設計士さんにきちんと計算してもらった方が良いかと思います。
とはいえ、この計算がきちんとできる設計士さんはほぼ居ません。
現実的には何となく洗濯室を作ってなんとなく開けっ放しにしておいて、なんとなく夜の間に乾いてくれ!という感じになります。
洗濯室の気積が足りなかったり換気扇の能力が足りなかったり、室温が低かったり室内の湿度が高かったりすると、なんだか乾かないねという事になります。水分の蒸発は物理現象ですので、与条件さえ分かればかなりの精度で計算が出来ます。
計算が出来ない設計士さんの場合は、高い確率で気積の大きなリビングに干しておいた方がはるかによく乾くという事になります。
という事で一番気を付けるのは、その建築会社にそういう計算が出来る人がいるかどうかになります。
ザイデルの減衰時式という公式を使うと計算することができます。
一度ご自身でも計算式がどんなものかだけでも確認していただけるとよいかと思います。
- 数十年後の気候が変わった際には、パッシブデザインされた家は効力を失ってしまうのでしょうか?
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パッシブデザインの最適解が変わることはありません。パッシブデザインの本質は、太陽の動きと家の形を合わせる事にあります。地球の地軸の傾きが23.4℃からずれたりするレベルの天変地異が起こらない限りはパッシブデザインの効力は変わりません。
このまま極端な温暖化が進むと、断熱材の厚みが1cm薄い方が良かったとか厚かった方が良かったという些細な差が生まれる事は予想されますがパッシブデザインの最適解が変わるという事はありません。
しかし、周囲(主に南側)にビルが建ってしまった場合には、冬の日照計画に大きな影響がある為、そういう事が起こり得る地域の場合は南側に大きな窓を設けるべきかどうかは慎重に判断した方が良いかと思います。
西側や東側に建つ大きなビルは、本州の多くの地域では通年で考えるとプラスになる事も多いので、気にしなくてもいいです。北側のビルに関しては、マイナス要因はほとんどなく、プラスに働くことの方が多いと思いますので、問題ありません。
- 30~50年後でも新築時の高い気密性能を保つことはできるのでしょうか?
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気密性能の低下はほぼないと思っていただいて大丈夫です。
気密性を落とさないためにはいくつかの方法が有効です。
まず耐震性能を上げる事です。家を固く作り、細かい地震ではびくともしないような構造にしておくことで、気密性能の低下は防ぐことが出来ます。
次に外張り断熱を併用する事です。構造材の収縮も気密性を落とす大きな要因ですが、外張り断熱の家の場合は温度変化による木材の収縮を大きく減らすことが出来ますので、気密性能の劣化は少ないです。
次に含水率の低い木材を使う事です。施工後に木材が痩せるのを防ぐことが出来ます。
最後に、細かい振動から有効な制振材を使う事です。大地震の時だけではなく、小さな地震から効果を発揮する制振材を使う事により、構造の変位を抑える事が出来ますので、結果として気密性能が落ちにくくなります。
気密性能が経年によりどの程度落ちるか、どんな原因で落ちるかという事は1990年には既に北海道工業大学の研究室にて実測された研究結果が論文発表されております。
上記の対策を全て講じた場合、気密性能の低下はほぼ発生しないと思っていただいて大丈夫です。