Q & Aよくある質問
よくいただくご質問をまとめました
設計について
- 先日、床下に入りました。 床に使用されている釘が無数に基礎内に突き抜けているため掃除がしにくい状況でした。釘が無数に基礎内に突き抜けている状態は何か問題になりますか?
- 床の釘やビスが合板を貫通している事について、特に問題点はありません。目安として板状部材を留め付ける釘は、板の厚みの3倍というのがあります。
15mmの板厚の床を留めるために45mmの釘を使う計算になりますが、下地の板が24mmの物を使っていた場合、全箇所6mm程下に貫通する計算になります。
どういう仕様なのかにもよりますが、屋根の釘や床の釘はよく下地を突き抜けている状況になりがちです。床下はあまり掃除のし易さを考えては作られていないかと思います。
- コーナー窓をつけたいのですが、耐震性能などに問題は生じますか?
- 窓が無くて壁だった状態と比べれば間違いなく耐震性は劣ります。しかし、コーナー窓が絶対ダメかというと、それは家全体のバランスによりけりです。私個人としては、積極的にコーナーに窓を付けるというのはやっておりませんが、絶対にタブーにしているという事もありません。何事もバランスが大事です。
- 施主さんのご希望が最優先だとは思いますが、特に指定のない場合、物干し場は室内と室外、どちらに設置することをオススメされていますか?
- 性能の高い家であれば室内で十分です。物干し場に求められるのは、とにかく大きな気積です。吹き抜けに面した廊下やリビング等、沢山の空気がつながっている空間であればよく乾きます。
- スキップフロアを採用するメリット、デメリットはなんでしょうか? 横の広さをとれない分、縦の空間をうまく使えればと思っています。
- スキップフロアのメリットはなんと言っても空間の縦方向有効利用だと思います。高さを上手く利用すれば、普通の2階建の建物が5階建みたいな雰囲気にすることも出来ます。
また、平坦な住宅地の場合ですと、隣の家と窓の高さを変えて設計しやすいので、視線をずらす効果もあります。
デメリットとしては、やはり構造についてです。床が一枚の構造になりませんので、構造的には不利になります。梁の高さ方向内で納まる程度の(20cmくらい)高低差であれば、一体の床としてみなせるなどのルールもありますが、基本的には構造的に不利です。
さらに、家の中に細かな高低差が付きますので、バリアフリー的に欠点になる可能性もあります。24時間換気をダクト式で行う場合は、設計段階から高さの検討をしっかり行わねば、天井が取れなく生活に支障がでるという可能性もあります。
- 貴社でリビングに大開口を設計する場合、予算のバランスもあると思いますが、採用する窓はどちらになるのでしょうか?apw431などはよく使われますか?
- 実績で言えばAPW430 エルスターX サーモスX APW330 エルスターS 自作木製窓 などなどです。だいたいUw値が1.5以下の物を選んで使うようにしております。
LWやAPW431などのスライディング系は、あまり信用しておりませんが、ご希望を頂けば使用致します。
予算のバランスで言えば、上記に挙げたもの以下の性能を使うという事は、長い目で見て何ら住まい手にメリットのあるものではありません。内装のグレードや家の広さを再検討してでも、これらのグレードの窓を使っておいた方が良いかと思います。
今は窓のグレードを抑えておき、将来的に内窓を付けたりすることで補強をするという方法もありますが、内窓を付けるまでの間に、窓枠や壁がカビるような事があってはよくありませんので、やはり最低限結露を起こさない窓を取り付けておく方が良いのではと感じます。
- 貴社は芯持材と芯去材の使い分けについてどのように考えていらっしゃいますか?両者はコスト面で大きな違いはありますか?
- まずコストについては同じ用途の場合、芯去材の方がはるかに高いです。芯持材と芯去材を使い分ける可能性がある部材は柱材になるかと思いますが、余程予算が潤沢にあり、かつ化粧材としての木材にこだわりがあれば、芯去材を使っても良いかと思います。それ以外はほぼ芯持材です。
- 洗濯室について湿度のコントロールのお話がありましたが、やはり洗濯室は他の空間とつながっていない個室というイメージでしょうか?
- どちらでも大丈夫ですが、乾きやすいのは個室ではなく大きな気積の空間とつながっている洗濯室です。洗濯物は、相対湿度の低い空気をどれだけ洗濯物に触れさせるかが大事です。個室であるならば、洗濯物を乾かして湿った空気を屋内か屋外にどんどん放出して、乾燥した空気を室内に取り込む、個室の気温は出来るだけ高めに保つなど可能な対策を施しておかないと、洗濯物は乾きません。
- 両親との同居を考えております。最近よく見る一階のリビングの一部を和室にして襖で仕切り、リビングを広く見せることもできるし、いざという時に両親も引き取れるといった間取りを目にしますが、プライバシーや防音で両親が落ち着いて生活できる間取りはどのようなものですか?
- 同居の問題はまず前提としてどのような時期、状態で同居が始まるのかがとても重要になります。子供たちの年齢は、自分の年齢は、仕事は、両親の年齢は、仕事は、、と、ライフステージのどの段階で同居が始まるかを想定しない事にはアドバイスが的外れになってしまいます。子供部屋を1階の両親の部屋の上にしてはいけないというのは一般論ですが、そもそも子供たちが独立後に同居の予定であれば、最も静かな部屋になりますし、リビングで遅くまでテレビを見ているシチュエーションがあるのかないのか、そういう時期なのかによって襖で良いのかどうかも決まってきます。教科書通りの事を申し上げれば、完全に独立した部屋で、2階には部屋を設けず、静かに過ごせるようにとなりますが、当然敷地の制約、予算の制約もあります。また、同居は部屋の仕切りだけで済む話ではありませんので、世帯間で事前に話し合う事をお勧めいたします。
- 洗濯室を作りたいのですが、どのようなことに気をつけた方がよろしいでしょうか?
- 洗濯室で重要なのが湿気の取り扱いになります。湿気は夏は不要で冬は必要なものになります。理想を言えば夏の湿気は外に排出し、冬の湿気は屋内に循環できるような仕組みにしておくことが望ましいです。夏用に外に湿気を抜く換気扇を取り付ける。冬用に家の中に湿気を抜く室内循環用の換気扇を取り付けるというのが対策になります。そして、洗濯物が効率よく乾くようにそれぞれの換気扇の風量を設定してあげるとよいです。一般的な洗濯一回分に含まれる水分は3.5kgになります。これは35坪くらいの家の湿度を一日中20℃30%から20℃35%まで加湿出来るくらいの水分になります。この洗濯物を3時間ほどで乾燥させようと思うと、約170㎥/h程度の室内循環ファンの能力が必要になります。乾燥量や乾燥時間は室温や室内の湿度、通風量に大きく左右されますので、詳しくは設計士さんにきちんと計算してもらった方が良いかと思います。
- 室内干しができる洗濯室を間取りに盛り込みたい場合、換気経路や窓の配置、送風機の設置など、一緒にプランニングすべきことはありますでしょうか?
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まず、計画している洗濯室が本当に乾く仕様の建物性能になっているかどうかが一番重要です。
断熱と気密のレベルがどの程度保たれているかです。 そのうえで、大切にすべきことは、洗濯室が気積の大きな空間に接しているかどうかです。空気中の湿度の拡散力は、温度の拡散力よりもはるかに高く、建築環境工学では「瞬時一様拡散」という概念で捉えられております。つまり、空気がつながっていれば、湿気の移動はほぼ一瞬ですよという事です。
なので、洗濯室が気積の大きなリビング空間などにつながって、洗濯物が乾くときの湿気が家の中に効率よく拡散されることが大切になってきます。 もし、洗濯室を締め切って、換気による空気の流れだけで乾かそうと思った場合を計算してみます。 夏ですと、家の中の空気が26℃60%くらい。洗濯室から排気される洗濯物から蒸発した水分を含んだ空気が26℃90%くらい。換気扇は普通の住宅用100Φで、流量が45㎥/hだったとすると、1時間に排出される水分量は340gです。8kg程度の容量の洗濯機で洗ったものが完全に乾くまでに1日近くの時間がかかる計算になります。
これでは生乾きの匂いがついてしまいますね。 なので、なるべく大きな気積の部屋にさっさと湿気を逃がして、後はエアコンの除湿で速やかに水分を家の外に排出するのが得策になります。大きな気積の部屋と洗濯室との空気を沢山入れ替えてあげるのは良い事ですので、そういう目的で送風機を取り付けるのは良いと思います。
冬の場合は、元々家の中は乾燥しがちです。 適切に暖房さえしておけば、乾くのはあっという間だと思います。 (繰り返しになりますが、家中を暖房して暖かくすることに耐えうる性能が無い家ですと、非暖房室で結露を起こしたりしますので、住宅の性能が高いことが大前提です) ちなみに窓ですが、乾燥室に窓を設けて窓を開けるのは、逆効果になる場合が多いのでやめたほうがいいです。