Q & Aよくある質問
よくいただくご質問をまとめました
日射取得、遮蔽について
- 熱負荷計算の中の顕熱計算のうち、外皮の熱とサッシからの熱は被ると思うのですが日射を別計算にするのはどういう理由でしょうか?
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ガラスを透過した太陽光線が床などに当たるとそこで熱に変わりますので、外皮やガラスの断熱性能とは別に、日射による取得熱を計算しないと辻褄が合わないことになります。
- 南側ハイサイドの窓の日射遮蔽はどう考えますか? 人が出られる大きさではないのですが、やはり屋根に登ってでも外部に簾などを設置した方が良いでしょうか?南側ですが遮蔽型にしても内部遮蔽で熱は入ってきてしまうものでしょうか?
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しっかり軒を伸ばすというのが良いかと思います。屋根に上って部材を取り付けるのはあまり現実的とは言えないかと思います。遮蔽型ガラスも最終的には有りですが、光が青っぽくなるので、私はあまり南側に遮蔽型ガラスを使わなくても済むような感じにしたいなとは思っております。
- 窓の日射遮蔽の方法について質問です。 これから新築する我が家は、6地域でHEAT20のG2くらいの仕様かつ東道路、南は隣家と3mほど空いています。夏の日射遮蔽にすだれを使おうと思っているのですが、二階の南窓・東窓は滑り出し窓ですだれやシェードがとりつきません。窓の大きさは700×900で南は少し軒が出ています。どうやって日射遮蔽するのがいいのでしょうか?
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南は軒をなるべく出す、東西は窓をなるべく減らすというのが、2階の日射遮蔽は有効です(角度があまり振れていない場合)それができないのであれば、せめて反射率の高いカーテンなどを取り付ける事になりますが、内側で出来る日射遮蔽対策は大して効果はありませんので、気休めくらいに思ってください。
- ηAC値というのは単純に低ければいいと考えて良い指標なのでしょうか?それともUA値やC値とは、取り扱いの仕方が異なるのでしょうか?
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はい、ηAC値は夏の日射取得熱を表す係数で夏の暑さの為には低ければ低いほど良いです。ただ、あまり低すぎると、窓の小さな家という事になり、暗いとか冬に日射取得を望めないという別の問題が出てきます。
- 再来月に着工予定で、軒ゼロの家です。 東西に窓はなく、南北に高さ60センチくらいの窓が複数あります。 南北どちらも同じ奥行20センチくらいの庇が設計されていますが、北向きの窓にも庇は必要ですか?
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日射遮蔽的には北面の窓の庇は全く必要ありません。窓の雨かかりを防ぐという点では大きな効果がありますのであっても良いですが、雨かかりに弱い状態かどうかは文面だけでは何とも言えません。デザインで付くておくという意図もあるかもしれませんので、一度設計者さんに聞いてみられてはいかがでしょうか。
- 日当たりが良い立地の南面の窓面積はパッシブと言うのでしょうか? 日射取得したい場合、室内床面積の2割が良いですか?
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冬期に直射日光が当たる場所の窓(主に南)はパッシブ設計の要素と言えます。
その家が何ワットの熱量を欲しているのかにより窓面積は変わります。
- 南面の窓を多くして冬の日射取得したいですが、夏に暑すぎ、名古屋では要らない、昔の縁側みたいでダサいと言う工務店が有りますが、冬の省エネ優先ならどう思われますか?
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名古屋で日射取得が取れるのであれば、南面の窓を大きくする方が良いですが、日射が取れないのであれば窓は邪魔なだけですので、小さくても良いです。また、安易に引き違いの掃き出し窓を使うのでダサくなります。FIX+縦辷りや大開口横辷りなど、ダサくならない窓も視野に入れてくださいませ。
- 季節の太陽高度を基に軒の長さを設定されると思いますが、夏場の基準日は夏至に設定されていますか? 又は期間とするといつからいつまでの日射を遮蔽し、日射を取得できるように考えられていますか?
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夏至では意味がありません。一年のうちで最も暑いのは8月の第一週になります。夏至+40日になります。この高度は夏至-40日と同じですので、GW明けくらいの太陽の角度と同じです。庇で日射遮蔽をする場合、お客様が暑がりか寒がりかにもよりますが、4/20~8/20位は南の窓に陽が当たらない期間と考えます。暑がりの人であれば、4/1~9/10くらいまでが陽の当らない期間です。ただ、これもあくまで目安でして、最終的にはちゃんと計算して求めていきます。
- 私は自然素材の簾の雰囲気が好きなのですが、日射遮蔽をする際にYKKのアウターシェードなどと比べて遮蔽率など大きく変わるものなのでしょうか?
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すだれの評価に関しては、実は定まっているとは言い難いです。例えば日本の研究チームの評価では、すだれは外付けスクリーンよりも性能が高いという評価をされていますが、海外の研究チームの報告ですと、すだれよりもスクリーンタイプの物の方が遮蔽性能が良いという評価になります。これは実験する環境によって評価が大きく異なるという捉え方も出来るかと思います。光の透過量という点では、隙間のあるすだれよりも隙間の無いスクリーンの方が優れているのは間違いありませんが、すだれは竹や葦といった細い中空パイプの植物で作られておりますので、素材裏面の温度はスクリーンよりも低いです。そこから放射される輻射熱の影響を考慮すると、すだれの方が高性能という結果もあり得る話です。様々な条件によって前後しますが、窓から極力離して取り付けるスクリーンが85%程度の遮蔽率、すだれが75%程度の遮蔽率というのが現実的な数字ではないかと考えております。ではこの10%の数字がどの程度の差につながるかという事ですが、冷房期で東西南面の窓が20㎡あり、300W/㎡の日射が300時間続くとします。すると、20×300×300÷1000(最後の÷1000はWh→kWh)=1800kWhというのが窓に当たる日射のエネルギーになります。ガラスの遮蔽性能が50%だったとして900kWh、更に85%カットのスクリーンだと135kWh、75%のすだれだったとすると225kWhがそれぞれ室内に入ってくる日射エネルギーになります。COP3.0のエアコンで冷房をした場合、スクリーンの場合45kWh、すだれの場合67.5kWhが日射熱を打ち消すための消費電力となります。電気代が28円/kWhの場合、スクリーンは1260円/冷房期、すだれは1890円/冷房期という計算になります。ちなみにスクリーンもすだれもない場合ですと、8400円/冷房期という数字になりますので、やはり日射遮蔽の工夫は必須と言えます。すだれにするかスクリーンにするかは、好みで決めて頂いても良いかと思います。
- シャッターでの日射遮蔽は有効でしょうか?日射はほぼ完全に遮蔽できる気がしますが、金属のシャッターが熱くなったらシャッターからの輻射熱で結局暑くなるでしょうか?
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結論だけ言えば有効です。シャッターが火傷するくらいに熱くなるエネルギーが室内やガラスに入って来るよりははるかに省エネです。夏には日射熱と共に、1㎡あたり300W程度の熱量が窓から入ってきます。普通の掃き出し窓からは約1000W程の熱が入ってくると思ってください。掃き出し窓が3つ程あった場合、エアコンがその熱を相殺する為だけに一つ必要になります。シャッターを閉めますと、シャッターの裏側の温度は50℃程度になります。シャッターと窓ガラスの間の空気の温度は40℃以上になりますが、その場合にガラスから入ってくる熱量は、掃き出し窓1つあたり100W程度ですので、シャッターが無い場合の1/10ほどまで軽減できます。詳しい計算式は割愛しましたが、そういう事になります。ただ、おっしゃるように、シャッターが熱くなった分の輻射熱が入ってくるのもまた正解ですので、シャッターよりは、熱容量が軽く熱くなりにくいもので遮蔽をする方がより効果的です。