Q & Aよくある質問
よくいただくご質問をまとめました
気密・断熱について
- 貴社では大物の布団を干す場所はどのように想定されますか?布団乾燥機やレイコップなどの機器の使用も選択肢に入りますか?
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あえて誤解を恐れずに言うと、布団を干す必要が無くなります。布団を干す目的は布団を乾燥させることです。布団が湿る原因は主に人体からの水分放出になります。夜寝ている間に0.5L程度の水分が布団に浸み込みますが、日本の気候ですと年中布団は乾きにくい為、外に干すというのが文化として定着してきました。しかし気候が乾燥して「まともな家」に住んでいる国では布団を干すという文化自体がありません。ちなみに日本でも北海道では布団を干す人は居ません。必要が無いからです。世界中で布団を干すという行為を行っているのは日本の本州以南に住んでいる人たちと、中国の一部地域の人たちのみです。私たちの方がマイノリティです。
冬に適切に暖かく、夏に適切に除湿が出来る家であれば布団を干す理由は「太陽に当たった匂いを嗅ぐのが趣味」くらいのものになってしまいます。
むしろ、羽毛や毛布などの紫外線に強くない素材をあえて外に晒すのは寝具の劣化を促進させる結果になってしまいます。朝起きたら布団を半分めくって、敷布団の寝ていた部分を空気に晒すだけで通年大丈夫です。
心配であれば布団乾燥機を使っても良いと思います。
ちゃんとした家であれば、その辺の常識も変わります。
- 玄関扉の郵便穴は気密性から考えるとつけるべきではないように思いますが、郵便は外に取りに行くしかないのでしょうか?
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玄関ドアに郵便受けが付属している商品ではお勧めできるものは全くありませんが、キョーワナスタさんが壁付けの断熱気密タイプの郵便受けを発売しており、少しは気密断熱が確保されているようです。
とはいえ、高断熱住宅に使ってもいいのかなという程度の断熱ですので、私は使ったことがありません。興味があれば使ってみても良いかと思います。
- 6地域の場合、UA値0.28で第3種換気かUA値0.34で第1種換気(全熱交換型)では体感としてはどちらの方が住み心地が良いのでしょうか?
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気密がしっかりと取れている家(C値1.0以下)という前提でお答えいたします。
快適性という点ではそんなに変わらないと思います。
しかし、生涯コストという点ではUA値0.28+3種換気の家の方が50年で100万円程安いと思います。勿論設計によってはもっと差がついたりそこまで差がつかなかったりしますので、お住まいになる想定期間分の光熱費やメンテナンス費の試算を建築会社に出してもらってください。
足元の寒さが気になるようであれば、どちらの場合でも床が暖かくなるような暖房計画(床下エアコンや床暖房など)を採用するとなお良いですが、どちらが良いかについては、あなたがどのくらい寒がりかという事にもよりますので、そこは建築会社さんに数値を伴うしっかりしたヒアリングをしてもらった方が良いです。
UA値は下がれば下がるほどシームレスに家の中の温度ムラ、冷暖房コストなどが良い方向に変わっていきます。
一生涯、住宅を維持管理していく中で、よりコスパが良く、より後で触りにくいのは換気設備よりも断熱材の方です。0.3を下回るまでは、断熱材だけにお金を掛けたほうがいいです。
- だん05・06購読しました。高断熱・高気密住宅の勉強になります。他に、お薦めの本はありますか?
- ありがとうございます。
ありがとうございます。だんにつきましては、01~04まで、どれも充実した内容になっておりますので、お勧めです。
他には「あたらしい家づくりの教科書」なども高断熱な住宅のメリットについて分かりやすく述べられてます。
もう少し深くという事になりますと、著名な方の本という事になります。実務者さんですと、エネパスの今泉さんが書かれたエコハウスはなぜ儲かるのかなどは、社会全体の事に絡めて書いてあり、多角的にエコハウスを考える事が出来ます。他にも松尾さんや西方さんなどが、エコハウスについての本を上梓されておられます。
学者さんの本ですと、北大の荒谷先生、室蘭工科大の鎌田先生、東大の前先生などが、一般の方向けのエコハウスについての本を書かれております。
高気密高断熱についてはそれらの本を読んでおくと、そこら辺の住宅実務者顔負けの知識が手に入るのではと思います。
しかし、家は高気密高断熱だけが全てではありませんので、色んな住宅作家さんの哲学に触れたりすることも良いかと思います。
- 天井の断熱性能(部材、厚さ)の標準はどれくらいですか?
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物件によってバラバラですので標準の断熱性能というのはありませんが
現在進行中の現場ですと、R値6.3㎡K/W(高性能グラスウール16Kで240mm相当)が最低で、R値15㎡K/W(高性能グラスウール16Kで570mm相当)というのが最高です。住まい手が求める広さ、温熱環境、冷暖房費、生活スタイルから性能を逆算して決めております。あなたがこうありたいと願う暮らしを実現させるために必要な断熱の厚みを提供します。
- 床断熱+天井断熱の家と、基礎断熱+屋根断熱の家だと気積がの大小による有利・不利などありますでしょうか?
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非常に鋭い質問ですね。おっしゃるように、基礎/床、天井/屋根で気積が変わってきますので、例えばC値を測定する時の分母が変わってきたり、UA値を計算する時の外皮面積が変わってきたりします。一般的には分母が大きくなればなるほど、係数は下がりますので、床断熱+天井断熱の家よりも、基礎断熱+屋根断熱の家の方が、UA値やC値は下がりやすいです。ただ、それらの係数は下がっても、隙間の絶対値や、熱が逃げる外皮の絶対的な面積は増えておりますので、光熱費は基礎断熱や屋根断熱の方が増える事になります。
屋根断熱をするのであれば、小屋裏空間を上手に使って、勾配天井や、ロフト部屋を有効活用しないと勿体ない事になってしまいます。
参考にしていただければと思います。
- 基礎内断熱で断熱材をスタイロフォーム(防蟻剤入り)を使用予定ですが、床下エアコンで基礎内を使ったとき人体には影響ないのでしょうか?
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基本的に、家の中に自然由来ではない物を使った場合、人体への影響はゼロではありません。ただ、致死量が100とした場合、影響の度合いが10程度なのか、0.1程度なのか、0.0001程度なのかという程度問題があるだけです。そういった意味では、影響はあるが問題は無い程度であるというのが、最も正確な表現なのではと思います。
恐らくスタイロフォームATよりもはるかに悪影響のある物が室内には沢山使われるはずですので、あまり気にしなくても良いかと思います。
また基礎内断熱の場合、防蟻材入りの断熱材を必ずしも使わなくても大丈夫だと思います。ベースと立ち上がりの打ち継ぎをしっかり地面より高い位置で作り、アリの侵入が無い様点検をすれば、基礎内断熱で食害はありません。
最後に、質問の内容とはあまり関係ないですが、基礎内断熱+床下エアコンで最も大事なのは、基礎全面に断熱材を敷くという事です。冬の基礎内の温度は30℃近くまで上がりますので、床下エアコンでなければ無視出来ていた基礎のベースから地中への熱移動が、全く無視できないレベルの熱損失になっていきます。
- UA値で0.43と0.3だは体感でわかるほど後者が快適で省エネになりますか?
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体感に関しては入居してすぐには分かりません。両方とも快適に思えるはずです。
しかし2年も住むと、確実に分かります。UA値0.4の家の人がUA値0.45の家に泊まりに行き(冬)この家寒いねと言います。そのくらい、人間の感覚が不快に敏感になっていきます。UA値が全てではありませんが、やはり、違いは分かります。
省エネについても、UA値が全てではありませんが、0.13も違えば光熱費は確実に変わってきます。
- 30~50年後でも新築時の高い気密性能を保つことはできるのでしょうか?
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気密性能の低下はほぼないと思っていただいて大丈夫です。
気密性を落とさないためにはいくつかの方法が有効です。
まず耐震性能を上げる事です。家を固く作り、細かい地震ではびくともしないような構造にしておくことで、気密性能の低下は防ぐことが出来ます。
次に外張り断熱を併用する事です。構造材の収縮も気密性を落とす大きな要因ですが、外張り断熱の家の場合は温度変化による木材の収縮を大きく減らすことが出来ますので、気密性能の劣化は少ないです。
次に含水率の低い木材を使う事です。施工後に木材が痩せるのを防ぐことが出来ます。
最後に、細かい振動から有効な制振材を使う事です。大地震の時だけではなく、小さな地震から効果を発揮する制振材を使う事により、構造の変位を抑える事が出来ますので、結果として気密性能が落ちにくくなります。
気密性能が経年によりどの程度落ちるか、どんな原因で落ちるかという事は1990年には既に北海道工業大学の研究室にて実測された研究結果が論文発表されております。
上記の対策を全て講じた場合、気密性能の低下はほぼ発生しないと思っていただいて大丈夫です。
- 高気密・高断熱住宅を勉強するのにお薦めの本はありますか?
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だん no.05、06には森亨介の記事も掲載していただいております
「だん」につきましては、01~06まで、どれも充実した内容になっておりますので、お勧めです。
他には「あたらしい家づくりの教科書」なども高断熱な住宅のメリットについて分かりやすく述べられてます。
もう少し深くという事になりますと、著名な方の本という事になります。実務者さんですと、エネパスの今泉さんが書かれたエコハウスはなぜ儲かるのかなどは、社会全体の事に絡めて書いてあり、多角的にエコハウスを考える事が出来ます。他にも松尾さんや西方さんなどが、エコハウスについての本を上梓されておられます。
学者さんの本ですと、北大の荒谷先生、室蘭工科大の鎌田先生、東大の前先生などが、一般の方向けのエコハウスについての本を書かれております。
高気密高断熱についてはそれらの本を読んでおくと、そこら辺の住宅実務者顔負けの知識が手に入るのではと思います。
しかし、家は高気密高断熱だけが全てではありませんので、色んな住宅作家さんの哲学に触れたりすることも良いかと思います。