専務コラム
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天気予報通り、GW初日は日本全国で局地的な雷雨が観測されましたね。
そんな中、あまり見たくないものを見つけてしまいました。
2×4(ツーバイフォー)工法で建築中のアパートが建て方作業を行っておりました。
朝は晴れていたので、(工期もきついし)監督さんは建て方作業を決行したのだと思いますが、
天気予報は昼から雷雨です。大丈夫かなぁと心配になりつつも現場を横目に通り過ぎたのが午前中。
お昼過ぎに雨の中戻ってくると、案の定雨ざらしになっておりました。
木材は、瞬間的に濡れる事はそんなに問題ではありません。表面に着いた水分は、風通しさえよければ
晴れた日に乾いていってしまいます。しかし、面でくっついた部分の中に入った水分は、なかなか抜けません。
しかし、現場は工期がある為、乾かしている時間的、金額的な余裕はありません。
結果、雨天建て方決行、その後も工程通りというような無理なスケジュールを組むこともしばしばです。
特にアパートなどの商業建築は、1日当たり幾らの利益を上げる建物ですので、早く完成させればさせる程建築業者側も発注者側も助かるわけです。
有名な所では、シンガポールの空中庭園とプールのあるホテル、マリーナベイサンズは、60か月(5年)程の工期を見込んでいたところを21か月(2年弱)で完成させ、工事にあたった建築業者側は多額の前倒し完成報酬を受け取ったという例があります。
そんな事情もあり、強行した上棟ですが、ツーバイフォーの建物は、在来軸組工法と違って屋根が最後に完成します。屋根が出来る前に壁や床の合板が施工されますので、それまでに雨に打たれると、合板部分もずぶ濡れです。
在来工法であれば、まず最初に骨組み、そして屋根を完成させます。合板系の素材はその後に施工となりますので仮に上棟中に雨が降っても水分を合板で閉じ込めてしまうという事は比較的起こりにくいです。
折角選んだツーバイフォーの建物であれば、その弱点が露呈するような工程の組み方をしてしまったことが非常に残念です。
ツーバイフォーが良いとか、悪いとかいう事はありません。ただ、それぞれのやり方にはそれぞれの長所短所があり、その長所短所を活かすも殺すも、設計と現場の腕次第という事です。
色んな料理がありますが、結局美味しい不味いを決めるのは作る人なんだと思います。
全ての建築会社さんが、住む人の方を向いて仕事ができるといいのになと感じました。