専務コラム
専務コラム
6/8、6/9の2日間、岐阜県立国際たくみアカデミーにて、エネルギーと住宅というテーマでの講習会をさせていただきました。合計12時間の持ち時間をいただき、講演内容はこちらにお任せというものでした。岐阜県が推進する省エネルギー住宅普及の為の事業の一環でしたが、さすがに疲れました。
県内企業の新入社員研修として、また岐阜県建築士会の案内を見て、各方面の方にご参加いただけました。内容は、いつも私が取り組んでいる省エネ設計の考え方やアプローチについてのお話しです。
今はどこの会社も高気密高断熱、暖かくて涼しい、健康な住まいを作っていると謳っています。しかし、本当にきちんと分かって省エネルギー住宅を建てている人は意外と少なく、大なり小なり間違えている部分があります。また、なぜ省エネルギー住宅を建てなくてはならないのかという問いに対し、明確に答えられる人も意外と少なく、やはり、対応に追われて省エネルギー住宅に取り組んでいたり、流行りものだからという理由で取り組んでいたりします。今回の講座に限らず、私が一貫してプロの方にお話をするのは、高性能な住宅をエンドユーザーに対して正しく、分かり易く伝える事の大切さです。
正しく、とはどういう事でしょうか。住宅が省エネルギーになっているかどうかという点では、作り手、そして住まい手の皆さんは、実は毎月レポートを受け取っています。電気代、ガス代、灯油代、水道代は、省エネ指数を測る一つの指標ですが、どんな事をどのくらいやれば、トータルで光熱費が減るのか、それを正確に理解していることを省エネルギー住宅を正しく理解している事だといつもお伝えしております。住宅の省エネルギー性能に対して300万円の予算を掛けるとするならば、太陽光の優先順位はどの程度のものか、熱交換換気は何番目に来るのか、断熱強化をしたい場合、壁なのか、屋根なのか、窓なのか、そういうことをコストパフォーマンスの高い順に自信を持って並べられる設計者が、世の中にどのくらいいるでしょう。自信を持って並べたものの根拠を住まい手に分かり易くプレゼンできる人がどのくらいいるのでしょうか。
今回の講座は、それぞれの項目に対して、設計者が間違えやすい事をきちんと数字で比べて理解をしていただくというものでした。住宅設計をやっている人ばかりではありませんので、それぞれの専門分野において必要な性能数値の計算の仕方をお伝えしてきました。
水道の配管メーカーさんの新入社員さんが来ておられましたので、給湯配管から逃げる熱の計算の仕方をレクチャー致しました。給湯配管に断熱被覆をこの位やって、こういう条件で使うと、熱ロスは年間2万円抑えることができる。配管材料が20万円高かったとしても、10年で元が取れ、後は永く使えば使うほどお得になるんですねー。などなど、最終的に金額で表す事で、熱量の単位などに慣れ親しんでいない人でもすぐに理解することができます。
眠くなる午後の時間はなるべく席を立って体験してもらうようにしております。やっぱり人間、ごはんを食べると眠くなりますからね。岐阜高専やたくみアカデミーの学生さんが寝ている時はそのままそっとしておくのですが、社会人の皆さんは後で上司にレポートの提出などがあります。私にも少しだけ、寝かせておけない責任が発生するのですね(笑)
そして最後は、なんと修了式がありました。県主催の公開講座って、そうなんですね。
2日間、どっと疲れましたが、やり切った感もいっぱいです。講座を聞いていただいた皆さんが、これからの設計業務や会社での仕事に、何かで活かしていただける事を、とてもとても期待しております。
皆さん大変お疲れ様でした!