専務コラム
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「何坪くらいの家が欲しいですか」
これは本当に良く交わされる、住宅建築における会話です。
うーん、40坪くらいかな。とか、35坪くらいかな。とかいろんな答えが返ってくるのですが、その数字にきちんとした理由のあるお客様は意外と少数派です。
間取りを考えるうえで、勿論全体の大きさはイメージをする必要があるのですが、一つ、考えていただきたいのは、自分が欲しいのは「40坪の家」なのか、「自分にとって十分な大きさの家」なのかという事です。動線が悪く、廊下がひたすら長い家で、びっくりするほど収納が無く、リビングの狭い40坪の家もあれば、家族が付かず離れずの適度な距離感を保って広々と使える収納の大きな30坪の家もあります。
小さい家よりは大きな家の方が良い、天井が高い家の方が良い。一般的にはそう思っている人が多いですが、実は住宅というものは、必要な大きさが確保できたのであれば、後はどれだけコンパクトに納められるかを考えた方が、長い目で見てずっと得することが多いのです。
小さい家の方が得する事をずらっと並べてみたいと思います。
①建築コストが少なくて済む
これはもう説明不要だと思いますが、小さく作る方が初期費用が安く済みます。
②メンテナンスコストが少なくて済む
これも説明不要レベルですが、外壁の面積は少ないほど、屋根の面積も少ないほど、交換や塗り直しの費用も少なくて済みます。
③光熱費が少なくて済む
「住宅を温めたり冷やしたりするエネルギー=Q値×床面積×温度差」という公式があります。床面積が大きくなればエネルギーが沢山かかります。エネルギーが自分の予測を超えていえば、温度差を少なくしてガマンします。つまり、床面積を多くするのであれば、光熱費がかさむのをガマンするか、寒い、暑いのをガマンするかという選択肢になります。もう一つ、Q値を低くして何もガマンしないという方法もありますが、Q値をどの程度低くしたら想定通りの暖かさ、光熱費で収まるのかをきちんと説明できる人は本当に少ないので注意が必要です。
人間の居住空間は必要な機能が満たされている事が大切です。広さは機能を構成する要素の一つではありますが、全部ではありません。床の面積が足りなくとも、空間には高さという要素もありますので、高さで広さを演出したり、収納量を増やしたりすることもできます。また逆に無駄に高い空間を作ってもあまり意味をなさない事もあります。手が届かない高さにある収納が使いにくい事は誰でも想像が付きます。広さ、高さのバランスを必要最低限ギリギリで設計できることが、設計者の腕の見せ所であったりします。同じ機能を満たすのであれば、少なく作ってあげたほうがお客様の生涯コストも少なくて済みます。
ドラえもんにあばら屋くんという人物が登場します。私の好きなエピソードの一つですが、狭い家も空間を生かす事で充分な広さにすることができると示唆しているようなお話でした。
こんな風に、狭くとも広く使えてみんなが楽しい家を設計したいなと、いつも思っております。
さて、今回は家の大きさの話でしたが、
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