専務コラム
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アメリカ、中国に引き続きEUも昨年のパリ協定を批准し、いよいよ年内発効なるかというところまで来たパリ協定です。
日本は大きく出遅れており、このままでは枠組みのルール作りに加われなさそうとの事。
ルール作りに加われない事の何が問題かというと、批准している国でルール作りをした場合、特定の国にとってとても有利なものになってしまうという事です。
CO2排出量上位の国が掲げているそれぞれの目標値ですが、右側に私の所見を一言で付け加えさせていただいております。
数字の上では、中国やロシアがいかにも大きな目標を立てているように見えてしまいますが、
中国、インド、アメリカは実は環境の事などほとんど考えておりません。
ロシアは何を考えているかよくわかりません。
中国、インドは2005年の時に比べてGDP当たりの排出量を2/3だとか1/3にすると言っているわけです。
これ、実は排出量を減らす話ではありません。
こちらが2005年の一人当たり各国排出量グラフです。
そしてこちらが2013年のグラフです。
実は、中国も、インドも、2005年と比べると、実質排出量は1.5倍~3倍に増えております。
しかし、国の目標は「GDP当たりの排出量を減らす」事なので、
実質排出量が3倍に増えてもGDPが9倍になれば1/1が3/9になり、66%削減したと言えてしまうのです。
つまり、中国、インドはCO2排出量を削減する問題を、経済成長問題へとすり替えようとしているのです。
そしてアメリカ。2005年時点ではエコな意識など全くない、世界一の環境汚染大国でした。
それが世論に後押しされて、ちょっと頑張っただけで、とても少なくなりましたが、1人あたりに直すとまだまだ余裕がある、いわば濡れ雑巾のような状態です。
しかも、2005年比で28%削減などという目標は、既に達成目前。全くの茶番です。
ロシアはロシアで、本気で達成する気があるのかどうなのか分からないです。
co2排出量削減競争をフルマラソンで例えると、
中国とインドは、自分で走るマラソンではなく、42kmを早く走れる自転車開発競争にすり替えて勝負しようとしております。
アメリカは自分だけ40km地点をスタートラインにしようとしております。
真面目にやろうとしているのはEUだけ。
そんな状況で、アメリカと中国が批准を表明し、おかしなルールを作ろうとしているのを見かねて、EUもたまらず手を上げたという形です。
ここで日本が手を上げず、アメリカと中国の主導するルール作りが行われていったとすると、、
全く持って意味のないものになってしまいます。
どうせ守る気のないアメリカと中国が嘘で手を上げているのですから、ここは日本も先の事は考えず、まずは批准を表明するべきです。
世界の年間CO2排出量は今でも年3%のペースで増え続けています。
中国の大暴走はこれからもしばらくは続いていきます。
この流れを読まずに、これからの国づくり、地域づくり、家づくりを行えば、必ず大きな落とし穴に入ってしまいます。
あぁ、しまった、こんなことになるのなら、あの時こうすればよかった。
そんな風に思う人を一人でも少なくしたい。
そんな家づくりをしていただきたいと思います。