専務コラム
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2017年4月現在、実は日本でも建物の省エネ義務化が実現していることを知る人は意外と少ないと思います。
プロでも「え?2020年からじゃあないの?」という人が多くてびっくりします。
確かに住宅では規模的に義務化基準に当たる事は稀だと思いますが、
先進国に遅れる事数十年、日本もこの4月からいよいよ省エネ建物が義務化されております。
義務化義務化と言われておりますが、何が義務化になるかと言いますと、性能数値です。
断熱力を表すUA値(W/㎡k)が義務化されております。
ゆくゆくはこの値が、住宅はじめすべての建物で、一定数値以下に抑えないと確認申請が通らなくなります。
これは大変、と建築業界では慌てて対応に追われております。
中にはとんでもない業者もいるわけで、
「2020年になると省エネ基準が義務化されて、更に建物が高くなるのです。だから今の、基準が無いうちに建てておきましょう」
というような事を言っているとのことです。
なぜ省エネ基準が義務化になるのでしょうか。
答えは簡単「そうした方が住む人も、日本の社会も良くなる」からです。
UA値が低くなると、冷暖房に掛かるコストが低減されます。加えて、身体を壊しにくくなり、医療費も低減されます。
マクロ的なお話をしますと、、
500兆円のGDPに対し、40兆円の医療費、10兆円~30兆円の振れ幅のあるエネルギーコストを日本人は払っています。
医療費、エネルギーコストがそれぞれ10%削減できるだけでも年間6兆円のお金が浮いてきます。
今、世の中にある5000万世帯のうち1/10の世帯が断熱改修費に120万円掛けると6兆円になります。
120万円では医療費や冷暖房費が10%下がる事はありませんが、600万円掛ければ、それは可能です。
5年で回収できる投資という事が言えます。毎年1/10の世帯が断熱改修をすると、10年で国中の家の省エネ化が完了します。
正しい断熱改修で耐用年数が増え、住宅が優良な資産となれば、日本は更に医療やエネルギーにお金を使わずに済むようになります。
1世帯当たり年間120万円の余裕が出てくれば、文化的な余暇や教育費にもっとお金を使う事ができ、国は更に豊かになります。
大げさな話だと思われる方もおられるでしょうが、それが現在の北部ヨーロッパの国です。
同じような所得でも日本人では信じられないくらいの長いバカンスを取って、生きることを、人生を楽しむのです。
日本もそういう暮らしができるポテンシャルを秘めているにも関わらず、1世代もまともに住めない家を建てて
毎世代の財産が住宅ローンに消えていく国になっております。
家を建てていただいた方に、人生を通して一番お金のかからない生活が出来る様に。
その家を継いでいく世代の方も家にお金を掛けなくて済むように。
そんな家づくりをしていきたいと願っております。
今は、省エネ住宅を建てた人に「ご褒美」で補助金を出しておりますが、3年後には「当たり前」になります。
しかし、当たり前になるから、義務化になるからという近視眼的な考えではなく、もっと長期目線で、住まい手のメリットを考え、
さらに長期目線で、地域や国が豊かになり、地球の環境に寄与できる家づくりをしていきましょう。