専務コラム
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9月に入りましたね。
暑かった今年の夏の勢いもだいぶ落ち着いてきました。
岐阜の暑さが色んな意味で注目を集めたと思います。
7月は全国上位を総ざらいして話題になりました。
8月はエアコンの止まった病院で死亡者が出て話題になりました。
8月はちょっと不名誉でしたが、
暑さがガマンで何とかなったりするレベルの物ではない
時代になってしまったことは認知が進んだと思います。
さて、話題の藤掛第一病院さんですが、話が大きくなりすぎている部分と
無視されてしまっている部分があります。
まず、話が大きくなりすぎている部分。
エアコンが止まった→お年寄りが亡くなった。
それは間違いないのですが、果たしてそれが殺人罪になるものなのかどうかを
拡大解釈してしまっている人や記事が後を絶ちません。
そもそも藤掛第一病院は療養病床を持つ病院です。
療養病床とは、誤解を恐れずに言えば終末医療を行うところです。
つまり、そもそもが、入院中に亡くなる可能性の高い状態の人が
入っている病院であり、エアコンが正常に動いていたからといって
入院患者さんがこの先長く生きていける状態だとは考えにくいです。
そして、エアコンの管理が悪かったのではないかという問題ですが、
エアコンが効くかどうかの点検や管理をしなければならないという
法律はありません。
フロン規制法という法律の中で、業務用エアコンは、フロンガスが
漏れていない事を定期的に確認するという決まりはありますが、
点検をしていなかったとしても、怒られるのは
フロンが漏れていた可能性があるという点だけです。
ビル管理法という法律の中で、建物の温度はおおむね
28℃以下にした方がいいですよと言う指針があります。
これは決まりではありませんので、暑い事が法律違反に
なるわけではありません。
暑くて人が死ぬという事を問題とするのであれば、
全国で家族が熱中症で亡くなった人たちはすべからく
逮捕されねば辻褄が合いません。
ですよね?
これって、おかしいと思いますでしょうか?
私はおかしいと思います。
実は、建物の温度に関して、何も法律の定めが無いのは
先進国の中では日本だけです。
ドイツなどは、最低温度は19℃と定められており、
アパートの大家さんなどは、それを下回るような
建物は貸せないという仕組みになっております。
当然、ベースの温度が上がるように、建物の性能は
日本よりもはるかに高く設定されており、
日本で主流の、コンクリートだけで構成された建物など
建ててはいけません。
断熱は冬の物と思われている方もいらっしゃいますが、
実は断熱は夏にも効果があります。
炎天下に停めておいた車は中がものすごい温度になります。
車は断熱材がほぼ無く、ガラスからたっぷり日射熱が
入ってくるからです。
皆さんの家は日中出かけて帰って来ても、炎天下の車程は暑くないはずです。
なぜか。住宅の壁は車のボディよりも厚く、断熱効果が働くからです。
という事は、しっかりと断熱された家であれば、
夏に40℃とか50℃みたいな室内環境になる事はないのです。
今回事件が起きた病院は、恐らくコンクリートだけで作られた構造です。
コンクリートに断熱が無い建物の夏の室内は、気温が40℃近くまで上がります。
上の階のエアコンの冷気などで、もう少し温度は低かったと思いますが、
人間にとっては厳しい環境です。
エアコンが壊れた事が問題だという人もいますが、そもそもエアコンは
必ず壊れるものです。今回は7月の猛暑の影響もあり、岐阜の空調屋さんは
お盆過ぎまでパンパンな状況で仕事をしておりました。
8/20に壊れたエアコンの対処を8/29にできたのであれば、
頑張った方だと思います。
病院の管理体制に何も問題が無かったというつもりはありませんが、
犯人をエアコンだけにしてしまうと、この問題は、温暖化が進むたびに
あらゆるところで噴出するようになるはずです。
今までは人が死ぬという事までは行かなかった温暖化、猛暑化が、
人を殺せるレベルまでになってしまったと言えるかもしれません。
エアコンが止まっても、暑い暑いと言いながらでも過ごせるくらいの
性能を持った建物を作らねば、暑くて人が死ぬという事はこれからも
加速していきます。
エアコンよりも先に家の性能を上げていかなくては
熱中症対策としては片手落ちですね。
さて、今回は暑さ対策のお話しでしたが、
家づくりにはまだまだたくさんの落とし穴があります。
家づくり失敗したなぁと思う人を一人でも減らせたらと思い、
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