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2024.05.17

第3種換気を計画する上で、機器の配置や選定に重要な点はありますか?

第三種換気は自由度が高い分、設計者の換気空調に対する理解や知識技術の差が大きく出てしまいます。

大前提として、気密がきちんととれているかです。 C値1.0は切っていないと何を考えても無駄になります。 そのうえで、季節に合わせて給気の方式を変えるという事をお勧めしております。

冬は内外温度差に伴い、家の内外に圧力差が生まれます。気球をイメージしてもらえると分かりやすいのですが、暖かい空気が膨張して上に行こうとするため、1階の給気口から大量に空気が入り、2階の給気口からはほとんど入ってこないか、もしくは2階の給気口から空気が外に出ていく状態になります。 つまり、冬は1階が過換気、2階は換気不足という状況が生まれやすいです。1階が沢山換気されるという事はその分1階だけが冷えやすく、2階はあったかいのに1階はちょっと寒く感じるねという事になりやすいです。

なので、私の場合はざっくりと家の中の圧力分布を計算して、給気口の配置や、その開閉設定を決めるようにしております。 圧力分布を計算する過程で、浴室やトイレに設置する換気扇機器の静圧をカタログから読み取り、中性帯(圧力がゼロの高さ)がどこに来るのかを計算しておく必要があります。 給気口の空気をどこから取り入れるのかというのも重要な要素になります。給気口の先を大気に開放する方法と、壁体内通気層の空気を入れる方法がありますが、冬の南側や西側の壁体内通気層内の空気はそれなりに暖められているため、暖房負荷を低減してくれますが、夏は非常に高温の空気が入り逆に増エネになります。

なので、夏の空気を入れる給気口は大気に開放すべきであり、冬の空気を入れる給気口はなるべく壁体内の空気を入れるべきです。 断熱のレベルにもよりますが、冬のピーク時に暖房負荷のうち2割から3割を換気が占める事になります。機器の選定や配置により、第三種換気でも最大50%程度(全体で言うと1割から1.5割ですね)換気からのエネルギー損失を抑える事が可能になります。

年間の冷暖房エネルギーが10万円だとすると、設計の工夫だけで1万円くらい削減できるイメージになります。 

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