専務コラム
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本日のブログは、少し難しい話をさせていただきます。
壁体設計をする際は熱の通しやすさや湿気の通しやすさを計算しながら、
建物が建つ地域で想定される気象条件、室内空気環境で、
結露が発生しないようにするのが基本ですが、
一つ悩ましい問題があります。
室内の壁仕上げなのですが、国交省は室内の仕上げは考慮せず
計算をしなさいと言います。しかし、室内の仕上げは、
ビニールクロスや珪藻土、漆喰、塗料と、千差万別。
クロスと珪藻土が同じ透湿係数であるはずもなく、
仕上げが透湿計算に大きく影響するであろうことは
容易に想像がつきます。
今まで壁体計算をする際、あまり深く考えず、ネットで調べた
60だとか80という数字を当てはめて計算しておりましたが、
そもそも60や80も、明確に単位が書いてある数字でもなく、
あまり当てにならないなぁと、感じておりました。
ちょうど同じような悩みの質問をいただいたので、
もう少し詳しく突っ込んで調べてみることにしました。
参考にしたのはサンゲツさんのカタログについている技術資料。
普通のクロスで、100g前後/㎡・24h という数字を見つけることができました。
JISの試験方法に則って調べた数字だそうですが、
40℃ 90%の空気を24時間でどれだけ透過させるかという試験だそうです。
うーん、これだけでは分かりづらい。
私としては最終的に、壁体計算の式に入れられる、
(㎡・h・mmHg/g)の単位での数値が欲しいんですよね。
JIS Z 0208 B法を調べてみると、
40℃ 90%の湿度の透過先は、乾燥空気だそうです。
となると、 ㎡は、そのまま使えて、hは24、mmHgは
40℃ 90%の絶対湿度からゼロへの圧力差なので、49.8015で良さそうです。
で、gは100前後となると、
㎡・24h・49.8015mmHg/100g=11.9524(㎡・h・mmHg/g)
訳12となりますが、ベニヤなんかとほぼ同じくらいの透湿性能ですね。
うーん、まぁ、そんなものかなと思いますが、
これからビニールクロスの透湿抵抗値は
11.9524㎡・h・mmHg/gを使うことにしようかと思います。
余談ですが、笑ってしまうのは通気性壁紙ですね。
625~5482の間ですが、実験値であり、保証値ではありませんと記述があります。
我々の仕事で例えるなら、
「この家いくらですか?」
「625万円から5482万円くらいだと思いますが、
絶対この範囲で収まるとは言い切れませんよ。」
それが堂々とまかり通っているという、、、
まぁ、そのくらい気にする人の居ない性能値だったということでしょうか。
自分で計算する前に、結構ネットで探してみたのですが、
ビニールクロスの透湿性能について、
詳しく書かれているサイトはありませんでした。
そもそもお役所が、「そんなことは気にするな」と言っている部分なので、
長いものには巻かれろ的な考え方からすると、気にし過ぎなのかもしれません。
あと、気になるのは60~80だと言われている方の根拠が不明なところです。
そのくらいの数字だと、100mm厚のコンクリートと同じくらいの透湿性能です。
そうだと言われれば、そうかなと思ってしまえる微妙な数字なので困ってます。
自分の計算も、何か見落としがあるかもしれませんので、
もし、何か気づいたことがありましたら、コメント等々いただきたいと思います。
あ、タイトルの、クロスは湿気を通すのか、通さないのかの結論についてですが、
私の好きな某女史のように、私は防湿フィルムを貼らずに建てる!
と言われている方にとってはかなり高い、厄介な透湿抵抗だと思いますが、
普通に防湿フィルムを施工される方にとっては、
少しは足しになるかな程度の透湿抵抗だと思います。
通すか通さんかと言われたら、、通します、、ですかね。